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岡山地方裁判所 平成7年(わ)546号 判決

本籍

山口県大島郡橘町大字西安下庄五四番地

住居

岡山県倉敷市連島三丁目六番三三号

会社役員

末金辰一

昭和一八年七月五日生

主文

被告人を懲役一年二か月及び罰金四〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、個人で継続して有価証券を売買するなどして多額の所得を得ていたものであるが、自己の所得税を免れようと考え、借名口座を利用して有価証券売買を行うなどの不正な方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六一年分の総所得金額が一億六〇一七万六五四二円で、これに対する所得税額が九五六七万八九〇〇円であったにもかかわらず、昭和六二年三月四日、岡山県倉敷市幸町三七号所在の倉敷税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年の総所得金額が一四〇一万八六二〇円で、これに対する所得税額が一二万八九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額九五五五万円を免れ

第二  昭和六二年分の総所得金額が一億二六九六万三六一八円で、これに対する所得税額が六四八六万一〇〇〇円であったにもかかわらず、昭和六三年三月一四日、前記倉敷税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年の総所得金額が一四〇一万八六二〇円で、これに対する所得税額が五万七三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額六四八〇万三七〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠)

判示全事実につき

一  差戻前の第一審の第五回及び第六回公判調書並びに差戻前の控訴審の第二回ないし第八回公判調書中の被告人の各供述部分

一  差戻前の第一審の第二回公判調書及び差戻前の控訴審の第一四回、第一五回公判調書中の証人末金節子の各供述部分

一  差戻前の第一審の第二回、第三回及び第四回公判調書中の証人末金利夫の供述部分

一  被告人の検察官調書(差戻前の第一審の検察官証拠番号39、40、41、42、44、45、46、48、50)

一  被告人作成の陳述書(差戻前の第一審の弁護人証拠番号25)

一  末金節子、末金利夫(三通)、末金美枝子(二通)、末金美恵子(二通)、田中優、岡義弘、宮澤董、武田勝任、田上三喜夫、西村信夫、楠戸鉄造及び片山逸雄の各検察官調書

一  大蔵事務官作成の有価証券売買益調査書、末金節子分控除額調査書、支払利息調査書、配当所得調査書、不動産所得調査書及び給与所得調査書

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(差戻前の第一審の検察官証拠番号2)、現金有価証券等現在高検査てん末書及び写真撮影てん末書

一  検察官及び検察事務官作成の捜査報告書

一  検察事務官作成の捜査報告書(差戻前の第一審の検察官証拠番号13、14、15)

一  検察事務官作成の電話聴取書(差戻前の第一審の検察官証拠番号5)

判示第一の事実につき

一  所得税確定申告書(昭和六一年分)一綴(平成七年押第一三五号符号一)

判示第二の事実につき

一  所得税確定申告書(昭和六二年分)一綴(平成七年押第一三五号符号二)

(法令の適用)

罰条 所得税法二三八条一、二項

刑種の選択 懲役刑と罰金刑の併科

併合罪加重 平成七年法律第九一号による改正前の刑法(以下全て同様)四五条前段

懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 刑法二五条一項

訴訟費用の処理 刑事訴訟法一八一条一項ただし書

(立会検察官齋藤諭、弁護人院去嘉晴、藤本徹)

(裁判官 山森茂生)

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